【嘘かまことか。真実は確かめてみなければ分からないのだ】

ここは沖縄美ら海水族館「深海への旅」コーナー
何やら慌ただしい様子の飼育員の姿が・・・
 
飼育員S(以下S)「Nさん!Nさん!!大変ですよう!!!深海コーナーに“ハリセンボン”が搬入されましたよ!!!!」
飼育員N(以下N)「え?何言ってんのよ、Sやん。ハリセンボンって、サンゴ礁とか浅い海に棲む魚じゃない。嘘ついてると針千本飲ませちゃうよ。」


S「違うんですって!ハリセンボンはハリセンボンでも、”トゲハリセンボン”っていう名前のカニなんですよう!」

N「え!?ほんとだ、すごくトゲトゲしたカニだね。それにしても、こんな名前のカニがいたなんて知らなかったよ。でも、確か魚のハリセンボンは350本ぐらいしかトゲがないんだよね?どうせこのカニも、名前だけの“針千本“なんでしょ。」
飼育員H(以下、H先輩)「それは違うぞ、N君。」
N「あ、H先輩。それは違うって、じゃあ一体トゲハリセンボンには何本のトゲがあるんですか?」
H先輩「1426本だな。」

S「へ?H先輩、何でそんなこと知ってるんですか?」
H先輩「うむ。この間、夜間の当直作業があったのだが、ふとトゲのことが気になって眠れなくなってしまい、数えてみたんだ。羊を数えると良く眠れるというが、トゲハリセンボンのトゲを数えていたら、興奮してすっかり目が冴えてしまい困ったよ。」
N(心の声)「深夜にトゲの数を...!!H先輩って、変態さんなのかな...。」
N「・・・ところで、このトゲって一体なんの役に立つんだろう??」
S「それなら分かりますよ!この間、餌の冷凍プランクトンを水槽に入れたら、体のトゲや毛にひっかかった餌をつかんで食べていました!」

N「そうなんだ!?なんだか高いところに登っているなと思ったら、流れの良い場所で餌が流れてくるのを待っていたんだね!!」

H先輩「ふむ。たくさんのトゲや毛は、身を守るだけではなく、餌を集めるのにも役立っている、というわけか。大発見じゃないか。でかしたぞS君。」
S「えへへへ。よーしこうなったら、本家?ハリセンボンよりも、こっちのトゲハリセンボンを有名にしてやりますよ!というわけで、早速展示してきます!!」
H先輩「急いては事を仕損じる。生き物に負担をかけないよう、慎重に準備を進めるんだよ。」
N,S二人同時に「はいっ!!」

案ずるよりも産むが易し。
興味本位で数えてみれば、あれよあれよで1426本。
わずか10分足らずで、おもしろい事実が見つかった。
トゲハリセンボンは「深海の小さな生き物」コーナーで展示中ですので、水族館に来られた際はお見逃しなく!
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