【深海に咲く一輪の花】

広い海の真っ只中、船上で何やら物思いにふける飼育員の姿が・・・
 
飼育員N(以下N)「海は良いなぁ、広いし大きいし。」
飼育員S(以下S)「何をのんきなこと言ってるんですか。ROV(無人潜水艇)を深海底に沈めている最中なんですから、Nさんも少しは手伝ってくださいよぅ。」

N「あ、そうだった。ごめんごめん。ところで今日の深海調査、何か面白い生き物が見つかるといいね。」
S「そうですねぇ。ROVのカメラ越しとはいえ、深海生物が棲んでいる場所を実際に見られるなんて!わたし、今とってもワクワクしています!」
N「あ。そうこう言ってる間に、ROVが深海底に到着したみたいだよ。さっそくなにか画面に映ってる・・・」
S「え?Nさん、これっていったい???」

N「えーーーー?なんでユリの花が深海底に?いくら沖縄がこの間までユリの季節だったからって、深海底で植物が育つなんてありえない!!」
飼育員H(以下H先輩)「ふむ。これは植物のユリではなく、棘皮動物の仲間”オオウミユリ”だな。」
S,N心の声(H先輩、いつの間に船に乗り込んだんだろう・・・)
H先輩「見た目が植物のユリに似ていることからこの名前が付けられたのだが、実は体の上部にある腕を使って歩くこともできる、れっきとした動物の仲間なんだ。」

N「ぉおお!そんな特技を持っているなんてスゴい!ぜひ水族館で飼育して観察してみましょう!!」
S「よーし、そうと決まれば善は急げですよ!体にダメージを与えないように、茎の部分をこうして...と、えいやっ!」

H先輩「良い判断だ、S君。ROVによる採集では、生き物の体の仕組みをしっかり理解したうえで、どうすればダメージを与えることなく採集できるのか、頭の中で一度シミュレーションをするのが大事なのだ。」
S「えへへ、それじゃあとにかく、一刻も早く水族館へ戻りましょうか。」
N,S (二人同時に)「レッツ、ゴー!!」
 
 
無事にROV調査を終えた一行
果たして「オオウミユリ」の特技を目にすることはできるのか?
その結末は、次回のお楽しみに。
  • 海洋博公園・沖縄美ら海水族館公式Facebook
  • 沖縄美ら海水族館