【カラクサシリスは何者だ!?】

飼育員N(以下N)「ふわぁあ(あくびの音)。退屈だなぁ・・・。ここまで何もいないと眠くなっちゃうよ。」

飼育員S(以下S)「もう、Nさん!ROV(無人潜水艇)で深海調査をしている真っ最中なんですから、もう少し集中してくださいよぅ!」
N「むー。だってさっきから同じような風景ばっかりで、生き物が全然出てこないんだもん。Sやん、よくそんなに長いこと集中していられるね。」
S「・・・あきれた。そういつも都合よく、ぽんぽん生き物が見つかるわけないじゃないですか・・・、って何だこれ!!?」
N「うわぁ。ずいぶんと美味しそうな”わたあめ”だねぇ。って、え!?何でこんなところにわたあめが!!!?」

飼育員H(以下H先輩)「ふむ、これは“タカツキカイメン”だな。ふわふわとした見た目をしているが、実は触るととても危険な生き物なんだ。私も何度か痛い思いをしているのだが、詳しくはコチラを見てみると良いだろう。(https://churaumi.okinawa/blog/1654060886/)」
N「あ、H先輩。わたあめみたいで美味しそうなのに、食べられないんですね...。私、悔しくてすっかり目が覚めてしまいました!!」
S「・・・。」
H先輩「ところでこのタカツキカイメン、中にゴカイが棲んでいるのは知っているかな?」
S「むふふ。H先輩、これのことですね??」

H先輩「その通り。そしてこのゴカイ、たくさんいるように見えるのだが、実は1匹しかいないんだ。表面に見えているもじゃもじゃは、枝分かれした“しっぽ”だな。」
N「え?1匹しかいないんですか?そして”枝分かれ”とはどういうことでしょうか?」
H先輩「うむ。このゴカイ、かなり特殊な生態をしているのだが、体が何度も枝分かれしていくことで、ついには唐草模様のような見た目になることから“カラクサシリス”と名付けられているんだ。」

S「えー、すごーい。世の中には、変なゴカイがいるもんですねぇ。穴だらけのカイメンの体をくまなく利用するため、こんな姿になったんでしょうか。」
N「真相はともかく、これは絶対に水族館で展示しなきゃ、だね!」
H先輩「そうだな。ゴカイの仲間は世界中で2万種以上が知られているが、こんな風に体が分岐する種類は、たった3種類しか知られていない。貴重な生態を多くの人たちに観察してもらえるよう展示の準備を進めていこう。」
S,N(二人同時に)「アイ、アイ、サー!」
 
 
ROVによる深海調査で発見した「タカツキカイメン」と「カラクサシリス」、
聞いたところによると、後日無事に水族館での展示に成功したそうだ。
https://churaumi.okinawa/topics/1667716867/
生きた姿を見たことがある人は、世界でたった数人だけ?
貴重な姿をぜひ水族館で観察してみてくださいね!
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