【トウモロコシのかき揚げ】

ここは沖縄美ら海水族館「深海への旅」コーナー
水槽内にトウモロコシの芯が突如として現れたあの日から早1年半以上・・・
https://churaumi.okinawa/blog/1652428861/
待望の続編です!
 
飼育員N(以下N)「え?いや、まさか・・・。でもやっぱりそうだよね・・・、“トウヨウホモラ“がトウモロコシのかき揚げを背負ってる?!!」

飼育員S(以下S)「ほんとですねぇ、これはずいぶんと美味しそうなトウモロコシのかき揚げ・・・、って、Nさん!これはオガサワラツブリの卵嚢(らんのう)じゃないですか!せっかくリンク貼ったんだから、ちゃんと過去の美ら海だよりもチェックしてくださいよ!」

N「ごめんごめん。そんなことより、卵嚢の中のオガサワラツブリ、ずいぶんと大きく成長してきたね!この調子だともう少しで卵嚢から生まれてくるんじゃない?

S「本当だ。肉眼でも貝殻がはっきりと確認できるぐらいに育っていますね。って、Nさん!今まさに、稚貝が卵嚢の外にでてきましたよ!!」
N「え!?ほんとだ!大人のオガサワラツブリと比べると、蟻んこみたいにちっちゃいね!いったい何mmぐらいで生まれてきたんだろう??」

飼育員H(以下H先輩)「ふむ。殻の長さにして約1.4mmだな。まだまだ大人の形には程遠く、触ると簡単に崩れてしまうぐらい貝殻も脆いようだ。」

N「あ、H先輩!パッと見ただけで良くサイズが分かりますね。たしか以前にも稚貝を育てていたことがあったんでしたっけ?」
H先輩「うむ。過去に何度か飼育したことがあるのだが、稚貝を育てるのはとても難しい。その理由の一つとして、どうやら大人と稚貝で食性が違うようなんだ。」
S「え?大人は確か肉食性でしたよね?ということは、稚貝は植物質の餌を食べるんですか??」
H先輩「確かなことは言えないのだが、少なくともふ化後1ヶ月ほどは動物質の餌を食べなかった。ひとまず過去のデータを整理して、改善点を見つけながら稚貝の飼育に取り組もうか。」
S,N(二人同時に)「はいっ!!」
 
 
・・・そして数か月後
N「こ、これは・・・!!」
S「うんうん!見紛うことなきオガサワラツブリですよ!!」
H先輩「成長にバラツキはあるが、ついにここまできたな。」
 
N「感無量だね・・・!!」
S「ほんとですよぅ。この数か月、稚貝たちが心配で、どれだけの眠れぬ夜を過ごしたことやら。あまりに眠れなかったので、成長の記録を写真にまとめてみましたよ。」

N「ナイスだよ、Sやん!最初はすべすべで頼りなかった貝殻も、成長するにつれて色もしっかりとしてきたし、ずいぶんとゴツゴツで分厚くなったよね!」
H先輩「まさかここまでうまくいくとは思わなかったが、日頃からコツコツとデータをとりためてきた成果が出たようだな。これからもこの調子で頑張っていこうじゃないか。」
S,N(二人同時に)「もちのろんですっ!!」
N「今夜はトウモロコシのかき揚げで打ち上げだね♪」
S「え、Nさん・・・」
 
 
・・・後日談
このたび沖縄美ら海水族館では、オガサワラツブリにつきまして、2023年度の初繁殖認定を受けました。
初繁殖認定は、(社)日本動物園水族館協会に加盟する園館で、飼育動物の日本初繁殖に成功した団体に与えられます。当館では、今後も飼育動物の繁殖を推進し、繁殖生態の解明や種の保全に繋げていきます。
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