【ウミショウブの域外保全】
はいさい!
皆さんは「ウミショウブ」という海草(うみくさ)をご存知でしょうか?
ウミショウブは、日本国内では西表島と石垣島周辺海域に自生する海中植物です。沖縄本島に多く自生する海草の仲間「リュウキュウスガモ」などと比べると大型に成長する種類で、葉の長さは最長で1.5mにも達します。

ウミショウブやリュウキュウスガモなどの海草や、ホンダワラ類などの海藻によって構成される場所は海草藻場(うみくさもば)と呼ばれ、多くの生き物たちが身を隠したり、産卵・子育ての場所として利用している他、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の吸収源となるなど、海の生き物たちはもちろん、私たち人間にとっても大変重要な役割をもった場所です。

しかし近年、多くの生き物たちの拠り所となる海草藻場は、環境の変化などにより、その姿を徐々に減らしつつあります。
なかでもウミショウブの減少は顕著で、環境省などにより一部の群生地は柵に囲われるなどして保護されていますが、それ以外の場所は「アオウミガメ」の食害により次々と姿を消し、完全に消失する可能性も感じます。
沖縄美ら海水族館が2025年に行った西表島の調査でも、8月には見渡すかぎりのウミショウブが広がっていた群生地が、10月には根元部分を残して食べつくされており、葉の長い個体は全く見つけることができませんでした。

根さえ残っていれば再び成長はするのですが、現状のままでは回復途中で再び食害に遭い、いずれは体力が尽き果て、枯れてしまうのは目に見えて明らかです。
このように、たったの2ヶ月で変わり果ててしまったウミショウブを見た時のやるせない感情は、今でも忘れることができません。
現在、様々な団体がウミショウブ保全のために注力していますが、当館にも何かできることがあるのではないかと画策し、水族館での域外保全に向けた取り組みを始めました。
※域外保全:絶滅危惧種を守るため、生息地外で保護し、それらを育て増やすこと。
ところで皆さんは、海草の仲間はどうやって増えるかご存知でしょうか?
海草の仲間は、ランナーと呼ばれる地下茎(ちかけい)を伸ばしながら新たな葉を増やしていく栄養繁殖と、花を咲かせて種子により増える種子繁殖の2つの方法で増えることができます。

当館では、これまでリュウキュウスガモの飼育下増殖に取り組んでいた際のノウハウから、より成功率が高いと考えられる、種から増やす方法を採用しました。
果実の採取は環境省へ相談し、地元漁業者の協力を得て、2024年11月に西表島で実施したのですが、その際にほんの少し前に食べられてしまったであろう果実も見つかりました。

そんな中、無事にいくつかの果実を採取し、水族館に持ち帰ることができました。
持ち帰った果実は数日後には裂開し、果実1個あたりに3-7個、緑色をした種子が入っていました。

このようにして得られた種子を用い、さっそく展示水槽および予備水槽での飼育を開始しました。

根がしっかり張るまでの間は種子を動かしたくなかったので、植え付け後の数か月間は柵で周囲を囲い、ほかの生物による掘り返しなどを防止しました。
南方系の植物というだけあって、冬場は成長が芳しくなかったのですが、6月以降の高水温期に差し掛かると成長が活発になり、1ヶ月の間に10-15㎝も葉が伸びることがありました!

さらに、植え付けから1年8か月後には葉の長さも1mを優に超えるようになり、栄養繁殖による株の増加も確認され始めました。

親株と子株の違いが分かりづらいのですが、ここから徐々に親株と子株のすき間が広がっていき、完全に2つの株に分かれます。
広大なウミショウブの群生地と比較すると、本当にちっぽけな水槽で始めた域外保全ですが、このように少しずつ成果が見え始め、水槽内も賑やかになってきました。

とは言え、こうしている今も、現地では確実に姿を消し続けているであろうウミショウブのことを考えると安心していられないのが現実です。
今後も栄養繁殖によって着実に育成株を増やしていくとともに、水槽内での開花や結実を目指して、域外保全の取り組みを進めていきたいと思います。
皆さんは「ウミショウブ」という海草(うみくさ)をご存知でしょうか?
ウミショウブは、日本国内では西表島と石垣島周辺海域に自生する海中植物です。沖縄本島に多く自生する海草の仲間「リュウキュウスガモ」などと比べると大型に成長する種類で、葉の長さは最長で1.5mにも達します。

ウミショウブやリュウキュウスガモなどの海草や、ホンダワラ類などの海藻によって構成される場所は海草藻場(うみくさもば)と呼ばれ、多くの生き物たちが身を隠したり、産卵・子育ての場所として利用している他、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の吸収源となるなど、海の生き物たちはもちろん、私たち人間にとっても大変重要な役割をもった場所です。

しかし近年、多くの生き物たちの拠り所となる海草藻場は、環境の変化などにより、その姿を徐々に減らしつつあります。
なかでもウミショウブの減少は顕著で、環境省などにより一部の群生地は柵に囲われるなどして保護されていますが、それ以外の場所は「アオウミガメ」の食害により次々と姿を消し、完全に消失する可能性も感じます。
沖縄美ら海水族館が2025年に行った西表島の調査でも、8月には見渡すかぎりのウミショウブが広がっていた群生地が、10月には根元部分を残して食べつくされており、葉の長い個体は全く見つけることができませんでした。

根さえ残っていれば再び成長はするのですが、現状のままでは回復途中で再び食害に遭い、いずれは体力が尽き果て、枯れてしまうのは目に見えて明らかです。
このように、たったの2ヶ月で変わり果ててしまったウミショウブを見た時のやるせない感情は、今でも忘れることができません。
現在、様々な団体がウミショウブ保全のために注力していますが、当館にも何かできることがあるのではないかと画策し、水族館での域外保全に向けた取り組みを始めました。
※域外保全:絶滅危惧種を守るため、生息地外で保護し、それらを育て増やすこと。
ところで皆さんは、海草の仲間はどうやって増えるかご存知でしょうか?
海草の仲間は、ランナーと呼ばれる地下茎(ちかけい)を伸ばしながら新たな葉を増やしていく栄養繁殖と、花を咲かせて種子により増える種子繁殖の2つの方法で増えることができます。

当館では、これまでリュウキュウスガモの飼育下増殖に取り組んでいた際のノウハウから、より成功率が高いと考えられる、種から増やす方法を採用しました。
果実の採取は環境省へ相談し、地元漁業者の協力を得て、2024年11月に西表島で実施したのですが、その際にほんの少し前に食べられてしまったであろう果実も見つかりました。

そんな中、無事にいくつかの果実を採取し、水族館に持ち帰ることができました。
持ち帰った果実は数日後には裂開し、果実1個あたりに3-7個、緑色をした種子が入っていました。

このようにして得られた種子を用い、さっそく展示水槽および予備水槽での飼育を開始しました。

根がしっかり張るまでの間は種子を動かしたくなかったので、植え付け後の数か月間は柵で周囲を囲い、ほかの生物による掘り返しなどを防止しました。
南方系の植物というだけあって、冬場は成長が芳しくなかったのですが、6月以降の高水温期に差し掛かると成長が活発になり、1ヶ月の間に10-15㎝も葉が伸びることがありました!

さらに、植え付けから1年8か月後には葉の長さも1mを優に超えるようになり、栄養繁殖による株の増加も確認され始めました。

親株と子株の違いが分かりづらいのですが、ここから徐々に親株と子株のすき間が広がっていき、完全に2つの株に分かれます。
広大なウミショウブの群生地と比較すると、本当にちっぽけな水槽で始めた域外保全ですが、このように少しずつ成果が見え始め、水槽内も賑やかになってきました。

とは言え、こうしている今も、現地では確実に姿を消し続けているであろうウミショウブのことを考えると安心していられないのが現実です。
今後も栄養繁殖によって着実に育成株を増やしていくとともに、水槽内での開花や結実を目指して、域外保全の取り組みを進めていきたいと思います。


