【トウモロコシって水槽に入ってないよね、普通】

ここは沖縄美ら海水族館「深海への旅」コーナー
何やら考え込んでいる飼育員が・・・
 
飼育員N(以下N)「え?いや、まさか・・・。でもやっぱりそうだよね・・・、なんで水槽にトウモロコシが?」

N「しかも食べられて、芯しか残ってないし!いったい犯人は誰なの!!」
飼育員S(以下S)「あ、それこの間、貝が食べてるところを見ましたよ。」
N「え?!貝がトウモロコシを?? ていうか、なんで水槽にトウモロコシが入っているのよ!」
S「さぁ?でもその時の写真、撮ってありますよ。見ますか?」

N「あ、これ“ナギレホネガイ“じゃない。本当にトウモロコシの芯をかじってる・・・」
S「美味しそうにかじってますねぇ。あれ?でもこのトウモロコシの芯、今水槽にあるものより、ずいぶんと短くないですか?」
N「ほんとだ。ねぇ、もしかしてこれ”トウモロコシの芯を食べている”んじゃなくって、ナギレホネガイの卵なんじゃない?」
飼育員H(以下H先輩)「正解だ。良くそこに気が付いたね、N君。」
N「あ、H先輩!やっぱりこれは卵なんですね!!」
H先輩「うん。私もナギレホネガイの産卵は初めて見たのだが、巻貝の仲間はこのように、卵嚢(らんのう)に入った卵を産むのだよ。」
S「そういえば最近、“オガサワラツブリ“が似たようなものを産み付けているのを見たなぁ。」
H先輩「うん、オガサワラツブリも形は違うけど、卵嚢(らんのう)を水槽の壁面によく産み付けているよね。」

H先輩「オガサワラツブリは卵嚢の中で稚貝が育って、親に似た形で出てくるから可愛いよね。」
N「えー、貝ってプランクトンで生まれてくる種類だけじゃなく、直達発生(稚貝)で生まれてくる種類もいるんですね!!!」

H先輩「そうだよ。ナギレホネガイがどちらのタイプなのかは分からないが、今後の様子をしっかり観察して、記録を残していくんだよ。」
N,S(二人同時に)「はい!!」
 
水槽に突如現れた「トウモロコシの芯」。
その正体はなんと、深海コーナーで展示中の「ナギレホネガイ」が産み付けた卵だったのです。
水族館の裏側ではこのように、日夜、生き物たちの生命のドラマが繰り広げられている。
ナギレホネガイの卵は今後どうなるのか?ご期待ください。
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