【トウモロコシの芯からうまれた貝!?】

突然ですが、以前ご紹介した「不思議なトウモロコシのお話」を覚えているでしょうか?
「深海への旅」コーナーで発見された“トウモロコシの芯“のような姿をした「ナギレホネガイの卵」の、その後のお話をお楽しみください。
 
 
飼育員N(以下N)「つ、ついにこの時が来たんだね・・! 感無量だよ、私は!!」
飼育員S(以下S)「どうしたんですかNさん。朝からえらく感情的じゃないですか。」
N「どうしたもこうしたもないよ!! ついに“トウモロコシの芯“こと”ナギレホネガイの卵“から赤ちゃんが生まれてきたんだよっ!!」

S「えー、すごーい。実は本当にトウモロコシの芯なんじゃないかと内心では疑っていたんですが、ホントのホントに卵だったんですねぇ。」
N「私も、今日この瞬間まで、Sやんが食べたトウモロコシじゃないかと疑っていたんだけどね。」
S「えー、そんな疑いをかけられていたなんて、ひどいですよぅ。ところで、このナギレホネガイの赤ちゃん、小さすぎて肉眼では良く見えませんねぇ。ここはひとつ、顕微鏡を使って観察してみますか。」


N「うわぁ。ちっちゃいけど、本当に貝の形をしているね!そして、生まれたばかりの頃は親みたいなトゲは全然ないんだね。」
S「ほんとですねぇ...って、あれ!? Nさん!ナギレホネガイの他に、なんだか変な生き物が紛れ込んでいますよ!!」


N「...!!? な、なんだこれは...」
飼育員H(以下H先輩)「お、ついに生まれたようだね。そしてこれは、ベリジャー幼生だな。」
N「ベリジャー幼生・・・。あ!以前に、ナギレホネガイは直達発生(貝の姿のまま)で生まれてくるのか、幼生で生まれてくるのか分からないと言っていましたね!」
H先輩「うむ。巻き貝の仲間は、稚貝になる前に“トロコフォア幼生”や“ベリジャー幼生”といった幼生期を過ごすのだが、ナギレホネガイの場合は卵の中で幼生期を済ませ、稚貝の姿になってから卵の外へと出てくるようだな。稚貝に混じったベリジャー幼生の割合は1割程度だから、恐らく稚貝が外へと出てくる時に、まだ未発達の幼生が外に押し出されてしまったんだろう。」
S「えー、まだ卵の中にいたかったでしょうに・・・。少し早く生まれてきてしまった(?)ベリジャー幼生も元気に育ちますように!」
H先輩「今のところ、どんな環境で育て、どんな餌を与えれば良いのか全く見当がついていないのが事実だ。手探り状態ではあるが、考えられることをどんどん試していこう。」
N,S(二人同時に)「はいっ!」
 
 
「トウモロコシの芯」こと「ナギレホネガイの卵」が発見されてから、早2か月以上が経過。
事態はめまぐるしく進展し、ついに稚貝が誕生した。
次号、不思議なトウモロコシのお話がついに完結!?
お楽しみに!
 
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