このたび、世界初となる「ホシカイワリ」の繁殖に成功し、「サンゴ礁への旅 個水槽」で稚魚の展示を開始しましたのでお知らせいたします。
【展示個体】
4個体 全長:約5㎝(ふ化日:2025年8月29日~30日)
【展示個体】
サンゴ礁への旅 個水槽
※生物の状況により展示を終了することがあります。
当館では、ホシカイワリ(成魚)を「黒潮の海」大水槽にて展示しており、季節に応じて産卵が確認されていたため、産卵期には受精卵を採取し、育成用水槽で孵化・飼育を行いました。
繁殖の過程では、初期餌料の種類や与えるタイミングなどについて試行錯誤を重ねました。特にエビと同じ甲殻類の仲間である“カイアシ類(コペポーダ)”が仔魚の初期成長に適した餌料であることを明らかにするなど、飼育方法の改良を進めた結果、今回世界で初めて本種の繁殖に成功しました。
現在、稚魚は全長約5㎝に成長しており、成魚と同様に縦長の体型をしていますが、やや体高が高く、丸みを帯びています。体側には名前の由来にもなっている星状の斑点(黄色~金色)はまだ現れず、不明瞭な暗い横帯のみが見られます。
ホシカイワリの成魚
≪ホシカイワリ≫
学名:STurrum fulvoguttatum
英名:Yellowspotted trevally
琉球列島からインド洋・西太平洋に分布するアジの仲間で、全長70cmに達し食用にもされる。岩礁域やサンゴ礁域に生息し、時には水深100mを超える外洋でも漁獲される。2022年には、分類学的な再検討によりヨロイアジ属からホシカイワリ属へ変更された。
沖縄美ら海水族館では、今後も本種の繁殖研究を通じて、水産資源としても重要な本種の繁殖生態の解明に取り組み、その知見を資源の保全や持続的な利用に役立ててまいります。