お知らせ
2020年06月12日 展示情報
沖縄美ら海水族館ではこのたび、琉球大学の研究グループと共同で、トゲウミサボテン属の一種の貴重な生態を世界で初めて撮影することに成功し、学術誌に報告しましたのでお知らせいたします。
トゲウミサボテン属の一種
学名:Echinoptilum sp.
刺胞動物門,花虫綱,八放サンゴ亜綱に属するウミエラ類の仲間。体の下端部を砂泥底に突き刺し、海底から直立する。群体には多数のポリプを持ち、流れてくるプランクトンなどを捕食する。報告に使用した個体は、2019年4月に沖縄美ら海水族館を管理運営する沖縄ら島財団が保有するROV(小型の無人潜水艇)により沖縄県本部町沖の水深120m付近から採集し、同年 4月-5月に個体の動画撮影を行った。
生態の謎が多い本種の行動を記録し分析を行うため、生体の動画撮影を試みました。
その結果、普段は動きのほとんどない本種が、モグラの様に砂の中に潜って移動する様子を複数回記録することに成功しました。
画像を詳細に分析し、他の花虫綱の行動報告と比較検討した結果、この潜行移動は、捕食者から逃れる際などに行われている可能性が示唆されました。
さらに、蠕虫状(ぜんちゅうじょう)の体形や骨軸を持たないこと、通常ポリプが退縮可能であることなどの形態学的な特徴が、この潜行移動に利点として働いていることを世界で初めて解明しました。
「深海の小さな生き物」コーナー
1個体(全長約12cm)
2019年6月2日~
※生物の状況により展示を終了することがあります。