海洋生物の調査研究活動について

沖縄美ら海水族館では、沖縄周辺にみられる熱帯・亜熱帯性の海洋生物の多様性研究や、生理学・生態学的特性を研究することにより、自然環境の保全と持続可能な利用に寄与する活動を行っています。

2018年

トラフザメの性ホルモンの変動と生殖状態との関係についての論文が掲載されました

サメ・エイ類の飼育下繁殖を推進する上で、繁殖に適した個体を選別することは重要となる。しかしながら、メスは外部形態から生殖状態を判別することが難しいため、その判別指標が求められていました。
当館で飼育されている性成熟したメストラフザメを対象に1年以上におよぶ生殖器官のエコー観察および血中の性ホルモン濃度の測定を行いました。その結果、性ホルモンの変動が卵発達や産卵期といったメスの生殖状態を反映していることが明らかとなりました。このことから性ホルモンの変動が生殖状態を類推する上で有用な指標となることが示されました。また、トラフザメはジンベエザメと最も近縁であることから、今回得られた結果は今後ジンベエザメの飼育下繁殖に向けても有用な情報になると期待されます。

ホホジロザメの“三日月形”の尾ビレの形成過程に関する論文が掲載されました

ホホジロザメは、上下に高さのある「三日月型」の尾ビレを持っています。このような形の尾ビレは、マグロなど高速遊泳を行う魚に広く見られ、長距離を効率的に泳ぐための適応であると考えられています。ホホジロザメの赤ちゃんは母胎から産まれるときにはすでに三日月型の尾ビレを持っていることから、三日月型の尾ビレは母胎内で形成されると考えられますが、その詳細は不明でした。
そこで、我々は20個体以上のホホジロザメの胎仔を調べ、その形成過程を明らかにしました。その結果によると、発生初期の胎仔は「鎌型」の尾ビレを持ち、成長とともに三日月形に変化することが分かりました。尾ビレの形態がこれほど大きく成長変化するサメは近縁種のネズミザメを除いて知られていません。この発見はホホジロザメの高速遊泳適応の謎のひとつを解明するものといえます。

2017年

アカウミガメの3世代目が誕生しました!

海洋博公園・ウミガメ館では、飼育下におけるアカウミガメの3世代目の繁殖に成功しました。今回繁殖に成功したのはウミガメ館にて1995年に誕生したメスのアカウミガメで、5月から6月にかけて産卵した卵より、22匹の赤ちゃんガメが誕生しました。

沖縄周辺海域のザトウクジラの分布状況について明らかにした論文が日本哺乳類学会論文賞を受賞しました

学術誌Mammal Studyに発表したザトウクジラの分布等に関してまとめた論文が、平成29年度日本哺乳類学会(会員数約1000名)論文賞を受賞しました。
同研究では、沖縄周辺海域で実施されてきたザトウクジラ調査結果をもとに、ザトウクジラの分布状況について詳細を報告しました。21年に渡る長期データから、観察の難しい大型海棲哺乳類の基礎生態学的知見を得た点や、ホエールウォッチング等の人間活動を見直す上で貴重なデータを提供している点が特に優れていると評価され、受賞となりました。

沖縄ザトウクジラ会議2017~持続的なホエールウォッチング産業に向けて~を開催

ザトウクジラは、かつて商業捕鯨の対象種として捕獲され個体数が減少しましたが、1960年代の捕獲禁止以降は徐々に回復傾向にあるといわれています。沖縄周辺海域でも、ザトウクジラの来遊個体数は増加傾向にあるとみられており、県内のホエールウォッチング産業も益々盛んになっています。こういった中、今後も持続的なホエールウォッチング産業の発展を目指すためには、ザトウクジラの生態についての理解を深めると共に、ザトウクジラへの影響を最小限に抑えたホエールウォッチングの実施や取り組みが必要とされています。

オキゴンドウの赤ちゃんが産まれました

海洋博公園イルカラグーンにて、5月23日(火)8:15にオキゴンドウの赤ちゃんが産まれました。

アカウミガメの交尾に関する論文が掲載されました

北太平洋のアカウミガメは屋久島を中心とした日本の太平洋側で産卵し、沖縄本島でも多い時で1000回周ほど確認されます。しかし、日本周辺で交尾を確認した例は少なく、いつどこで交尾しているのか良くわかっていません。2015年3月21日、沖縄本島本部半島の西海域でアカウミガメの交尾行動の直接観察に成功しました。特に、1頭の雌の上に2頭の雄がマウンティングする様子や、雌が雄の求愛を受け入れる様子など、非常に貴重な交尾行動が記録されました。さらに本結果から、アカウミガメの交尾は早春から沖縄島周辺で行われる可能性が示唆されました。

クロウミガメの赤ちゃんが誕生しました

海洋博公園・ウミガメ館では、2017年8〜10月に、国内では稀種である「クロウミガメ」の繁殖に初めて成功しました!

ジョーズの胎仔はなぜ子宮内で窒息死しない?その仕組みを解明

魚類の多くは卵で増えますが、サメには哺乳類同様子宮の中で胎仔を育て、出産するものがいます。ホホジロザメもその一つです。哺乳類の胎仔は、ヘソの緒を通じて母体から酸素の供給をうけています。しかし、ホホジロザメをはじめ多くのサメにヘソの緒はなく、酸素がどのような仕組みで胎仔に供給されているのかは長年の謎でした。
そこで沖縄美ら海水族館では、ホホジロザメの子宮内部を詳しく調査し、その謎を解明しました。
今回の調査により、ホホジロザメの子宮の内壁は微細な突起で覆われており、この突起のおかげで表面積が約60倍になっていることが判明しました。さらに、物理式を用いて子宮表面での酸素交換効率を見積もったところ、他種のサメの250倍から400倍にも達し、魚の鰓に匹敵することが明らかになりました。
つまり、ホホジロザメの子宮は強力な酸素供給能力を持ち、胎仔は子宮内液に溶け込んだ酸素を呼吸に利用していると考えられます。謎に満ちたホホジロザメの繁殖メカニズムについて、また一つ謎が解かれたということになります。

沖縄の希少淡水魚「ドジョウ」と「タウナギ」に関する論文が掲載されました

「ドジョウ」と「タウナギ」は水田や池沼を主な生息地とする純淡水魚で、東アジア周辺に広く分布します。両種は琉球列島にも分布しており、他の地域と隔離され独自の分化をとげた、“沖縄在来の固有個体群”の存在が知られています。しかし、両個体群は、生息環境の悪化と減少にともない激減しており、絶滅も危惧されています。また、両種は観賞用や食用として流通していることから、外部個体群の人為的持込による遺伝子汚染も懸念されています。
沖縄島北部に位置する沖縄県立北部農林高校の敷地内を流れる水路では、かねてより両種が頻繁に目撃されていましたが、これまで学術的な調査が行われたことはありませんでした。そこで、同校の生物研究部と共同で両種の生息密度を調査したところ、ドジョウ4.67個体/²、タウナギ1.78個体/²と、いずれも高い密度で生息していました。また、採集した個体のDNAを分析したところ、全ての個体が沖縄在来系統に属することが確認され、保全すべき貴重な個体群であることが分かりました。今後は、同校とも協力しながら本生息地の保全対策を検討していく予定です。

2016年

2015年

2014年

2013年

沖縄美ら海水族館年報

平成22・23年度 沖縄美ら海水族館年報 第8号

平成24年度 沖縄美ら海水族館年報 第9号

平成25年度 沖縄美ら海水族館年報 第10号

平成26年度 沖縄美ら海水族館年報 第11号

平成27年度 沖縄美ら海水族館年報 第12号

平成28年度 沖縄美ら海水族館年報 第13号

美ら海水族館のお得情報!
×