お知らせ
2018年01月30日 展示情報
沖縄美ら海水族館ではこのたび、2008年6月に生まれ、「飼育下繁殖」に成功したオスのナンヨウマンタ(マンタ)が、性成熟に達した(大人になった)ことが確認されました。
※現在、性成熟に達したオス個体は、海上イケスにて飼育しているため、水族館での展示はありません。
エイの仲間では最大級となる種類。主に沖縄以南、インド太平洋の温帯・熱帯海域に生息する。
沖縄美ら海水族館では、ナンヨウマンタの飼育下での繁殖に世界で初めて成功した。
今回、性成熟に達した個体は2008年6月17日に誕生。誕生直後から、沖縄美ら海水族館および沖縄美ら島財団総合研究センターのスタッフが外部形態の変化、血中のホルモン濃度の変動など、詳細なモニタリングを行いました。その結果、水族館で生まれた個体は、生後約5年で性成熟に達することが立証されました。
これまで、ナンヨウマンタの性成熟に関しては、野外での目視調査による断片的な情報に頼っていたため、正確な成熟年齢や、成熟過程は観察できませんでした。
今回の7年にわたるモニタリングは、同一個体のマンタを長期間にわたり成長、生理値、形態・行動の変化を追った世界で唯一の報告で、長年飼育しなければ不可能な研究です。個体数の減少が危惧されている本種を守るためにも重要な研究となります。
現在、性成熟に達したオス個体は、海上生簀にて順調に成長、同居するメス個体との交尾も確認されており、次世代繁殖に向け飼育と科学的調査を継続しています。
沖縄美ら海水族館では、今後も野生生物の保全に貢献するため、飼育動物の健康管理技術の開発と繁殖研究を積極的に進めてまいります。
今回の詳細なモニタリング結果は、国際学術誌BMC Zoologyに掲載されています。
掲載誌:BMC Zoology (2017) 2:14
DOI 10.1186/s40850-017-0023-0
タイトル:High-resolution monitoring from birth to sexual maturity of a male reef manta ray, Mobula alfredi, held in captivity for 7 years: changes in external morphology, behavior, and steroid hormones levels
著者:野津了,村雲清美,松本瑠偉,松本葉介,矢野渚,中村將,柳沢牧央,植田啓一,佐藤圭一