お知らせ

2021年03月17日 展示情報

世界初!希少な鯨類 タイヘイヨウアカボウモドキのオスの全身骨格標本を展示

沖縄美ら海水族館では、世界唯一のタイヘイヨウアカボウモドキの「オス」の全身骨格標本を展示しています。また、国立研究開発法人水産研究・教育機構と共同で、本個体を調査し得られた生物学的知見が、国際学術誌に掲載されましたので、併せてその概要をパネルで紹介しています。

 

ザトウクジラ
世界唯一のオスの全身骨格標本

ミナミオーストンガニ

≪タイヘイヨウアカボウモドキについて≫
学名:Indopacetus pacificus

太平洋、インド洋に生息するハクジラの仲間で、世界で最も情報の少ないクジラの一種。2003年に外部形態(外見の特徴)や遺伝的情報が公表される(Dalebout et al. 2003)までは、外見すらわからない「謎のクジラ」と言われていた。

展示場所

沖縄美ら海水族館 美ら海プラザ 美ら海"出会い"の広場

 

ミナミオーストンガニ

うるま市浮原島に漂着した個体

2011年7月30日、沖縄県うるま市の浮原島の海岸に見慣れないクジラが死亡漂着しているのが発見されました。沖縄美ら島財団と沖縄美ら海水族館を中心とする研究チームが、外見や骨格の特徴、DNA(遺伝的情報)を用いた分析を行ったところ、このクジラは「タイヘイヨウアカボウモドキ」という、世界的にも極めて珍しい種であることが判明しました。この個体は、体長4.8mの若いオスで、国内では鹿児島、北海道に次ぐ3例目、沖縄では初の本種の漂着報告となりました。

本研究のポイント

1) 沖縄周辺にも本種が生息することを示す大変貴重な発見
2) 現存する「オス」の完全全身骨格標本は、世界で本標本のみ
3) 本標本は、今後の骨学的研究に利用可能な状態で保管するため、
  骨自体に一切傷を付けない特殊な方法で作製、展示されている

 

沖縄美ら海水族館を管理運営する(一財)沖縄美ら島財団は、海洋生物の多様性や生態学的特性について調査することで、自然環境の保全と持続可能な利用、地域貢献に寄与する活動を行っています。今後も国内外の研究機関と連携し、野外・飼育下における希少生物の保全を目的とした生物学的研究を積極的に実施していきたいと考えています。

【発表雑誌】
掲載誌:Aquatic Mammals (2021): 47(2), 153-174. DOI 10.1578/AM.47.2.2021.153
論文名:The First Stranding Record of Longman’s Beaked Whale (Indopacetus pacificus) in Okinawa, Japan.
著 者:小林希実、徳武浩司、 吉田英可、 岡部晴菜、 宮本圭、 伊藤春香、 東直人、深田晋悟、山崎啓、比嘉克、河津勲、 植田啓一

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