お知らせ

2021年06月22日 展示情報

「黒潮の海」水槽 ジンベエザメの展示について

沖縄美ら海水族館では、2012年10月23日より「黒潮の海」水槽で展示を行っていたジンベエザメ1個体(メス・全長8.0m)について、健康管理上の理由により海上イケスへ移動しましたのでお知らせいたします。

 
ジンベエザメ

≪ジンベエザメ≫

学名:Rhincodon typus 英名:Whale shark
 

成長すると全長約14mになる世界最大の魚類。模様が夏着の甚平に似ていることからジンベエザメと名付けられた。世界中の熱帯から温帯の海を広く回遊することが知られている。主にプランクトンや小魚などをエサとしていることから、大人しい性質の巨大なサメとして人気があるが、詳しい生態や繁殖に関する知見はほとんどない。
 

今回、移動を行ったジンベエザメは、1か月ほど前から摂餌が不安定となる症状がみられました。血液検査などの所見から、平常時と比較して体力の低下傾向を示す値がみられたため、一旦隔離して飼育を行いながら、慎重に観察と療養を行う必要があると判断いたしました。

今後は、「黒潮の海」水槽ではジンベエザメのジンタ(オス、全長8.8m)1個体の展示を継続いたします。
また、他のジンベエザメ個体の展示については、本種の生物学的な特徴や個体の状態を科学的に評価した上で、慎重に判断してまいります。  

沖縄美ら海水族館は、今後とも動物の健康状態を最優先として、飼育展示・研究を行います。

本個体の死亡について

海上生簀へ移動後も獣医チームを中心に最善の治療を続けておりましたが、残念ながら死亡が確認されました。
【剖検結果】
■飼育年数:13年2ヵ月(予備水槽での飼育期間含む)
■死  亡  日:2021年6月17日(木)
■死亡原因:詳細に剖検を行った結果、上下顎を支持する舌弓の骨格系である基舌軟骨および角舌軟骨と神経頭蓋前部腹面が上方に著しく傾くことで開口幅が制限されるなど、骨格構造に異常が確認されました。
過去の飼育記録より、水族館での飼育開始以前に外的要因による異常が発生し、成長とともにこれらの変形の悪化が進行、摂餌障害を引き起こしやすい状態だったと考えられます。
また、生前より超音波画像診断で胃と腸を繋ぐ幽門部の通過異常が確認され、剖検では顕著な捻じれの異常があることが分かりました。
これらの症状により、取り入れたエサが消化器官内で停滞し、十分な量の栄養を腸で吸収することが困難であったことが示唆されました。
当館では、さらにCT等の画像診断による詳細な分析を進め、科学的知見の収集と情報の共有に努めてまいります。
本個体は、日本国内で最も長く飼育されたメスのジンベエザメ個体でした。当館での13年間の観察を通し、多くの新知見が得られ学術論文で公表されるなど、繁殖生理や生態の解明に大きな貢献をしました。
沖縄美ら海水族館では、今後もジンベエザメの生態や生理学的研究を通して、本種の繁殖や保全に寄与していきたいと考えております。
Harvey‑Carroll et al. (2021)で報告されたblunt trauma (鈍的外傷)と同様の症状

このページに関するお問い合わせ先

沖縄美ら海水族館

TEL:0980-48-3748FAX:0980-48-4444

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