繁殖への取組みについて

ジンベエザメの飼育下繁殖に向けての取り組み

世界最大の魚類として人気のあるジンベエザメですが、その生態はまだまだ謎めいたままであり、特に繁殖に関する情報は非常に少ないのが現状です。そこで沖縄美ら海水族館と沖縄美ら島研究センターではジンベエザメの繁殖生態の解明を目指し、世界初となる飼育下繁殖に向けて様々な調査・研究を外部機関とも連携を取りながら進めています。

オスのジンベエザメ“ジンタ”の成熟

一般的にサメ類(エイ類も同様)のオスは2本ある交尾器(クラスパー)が大きく成長し、生殖に関する機能が備わることが知られています。ジンタにも同じ変化が起こりました。2011年8月から2012年7月までの1年間のうちに急速にクラスパーが大きくなり、その間の2012年4月からクラスパーを動かすこともできるようになりました。また実際に精子を確認することもできています。

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    2005年10月

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    2011年8月

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    2012年7月

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性成熟調査

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  • 当館ではジンベエザメの採血を毎月行い、健康状態を確認しています。なかでも血液中のホルモンの濃度はジンベエザメの成熟を知るためにも重要です。ジンタでは成熟する前と後で、ホルモン濃度や季節ごとの変動に違いが出ています。メスのジンベエザメでも同様の調査を行い、成熟度や季節的な変動について毎月確認を行っています。

行動の監視

ジンタは2014年頃から、メスを追いかけたり、クラスパーを交差させたりするような行動を頻繁に行うようになりました。これらの行動の頻度を知るため、スタッフによる観察の強化や24時間稼働のモニターの設置により、行動を詳しく監視しています。

ジンベエザメの成長

  • ジンベエザメがどのようなペースで大きくなっているのかを知ることは、飼育環境を考えるためにも重要なことです。当館では毎月全長を計ることに加え、胴周りの大きさも計測しています。これにより「順調に大きくなっているのか?」「どの時期に成長が速くなるのか?」「餌の量は足りているのか?」など、安定した飼育をする上で重要な情報を得ることができています。
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野生ジンベエザメの調査

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  • 沖縄では時々ジンベエザメが定置網に入り、漁師さん達と協力して放流を行います。その時は、血液の採取、全長や胴周りの計測、DNA分析や化学分析用の組織の採取、そして電子標識を用いた自然の海での行動観察を行っています。これらの調査によりジンベエザメの繁殖や生態に関する重要な情報が得られます。

2個体での展示

ジンベエザメのメスは、全長およそ9mを超えると成熟に達すると言われています。そのため当館で一番大きなメス(全長8m)とジンタの2個体での展示を始めています。ジンタはこのメスへのアプローチ(追尾行動)が多く、繁殖が近づいていることが推測されます。また3個体展示よりも水槽内の飼育スペースにゆとりが生まれるため、新たな繁殖計画への取り組みとして、2016年11月から実施しています。“ジンタの花嫁候補”としてこのメスの成長に期待がもたれています。

繁殖への取組み

水族館では、生き物を飼育展示するだけではなく、調査研究もしています。

そのなかでも大きな仕事の1つが、動物の繁殖に関するものです。飼育動物の繁殖は良好な飼育状況の結果を示し、その生物学的な知識が得られることで、野生個体の保護にも有益な情報となります。日本には動物園や水族館の活動を支援する組織として社団法人日本動物園水族館協会があります。

繁殖賞は昭和32年度(1957年度)に制定、「飼育下で動物の繁殖に成功し、生まれたこどもが半年を過ぎても生存して、それが日本で初めての場合」に与えられます。

沖縄美ら海水族館は、ナンヨウマンタやミナミバンドウイルカなど、26種類の動物で繁殖賞を受賞しています。特に他館では少ない大型サメ・エイ類の繁殖が多いことが特徴です。

私たちは今後もこれらの繁殖・育成技術の研究にも取り組み、より多くの動物の長期飼育や繁殖を成功させ、総じて海洋生物の保護・育成にも努めたいと考えています。

古賀賞について

古賀賞は、希少動物の保護増殖に大きく貢献された日本動物園水族館協会元会長、古賀忠道博士の功績を記念するとともに、古賀博士からの寄付金を基金として1986年に制定された賞です。

表彰は、下記の分野においてすぐれた業績をあげて、動物園や水族館での繁殖技術の向上に特に功労があったものに対して、表彰されます。

  • 飼育下における繁殖が困難で、世界的にも例の少ない種の繁殖
  • 複数の世代にわたる多数の繁殖
  • 独創的な工夫、独自の努力、画期的な開発がなされた結果としての繁殖

沖縄美ら海水族館は第1回(昭和62年度)に「ネムリブカの水槽内2世代繁殖」で受賞しました。

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